
社交不安障害の治し方:克服までのステップと効果のある治療
社交不安障害の治し方を解説。もっとも効果的なのは社交不安のための認知行動療法です。安全行動のやめ方、不安階層表のつくり方、SSRIが役立つとき、日本での受け方まで。
社交不安症(社交不安障害)の治療でもっとも根拠があるのは、社交不安のために開発された認知行動療法(CBT)です。注意を自分の外に向け、恐れを長引かせる「安全行動」をやめ、実際の場面で自分の予想を確かめる練習をします。薬を希望するならSSRIも選択肢です。今夜からでも、小さな「不安階層表」をつくって始められます。
要点まとめ
- 社交不安障害は治療で良くなります。英国のガイドラインは社交不安のために開発された個人の認知行動療法を第一選択にしていて、日本のガイドラインも同じ治療を提案しています。英国の標準的なコースは最大14回、約4か月です。
- 社交不安を保ってしまう習慣は3つあります。会話より自分の様子を監視すること、セリフの練習や目をそらすといった安全行動、そしてあとからくり返す「ひとり反省会」です。
- 克服の方法は、怖い場面に小さなステップで、安全行動なしで近づき、予想と実際に起きたことを比べることです。
- 認知行動療法にもとづくセルフヘルプは、待っているよりずっと効果があります。SSRIも医師と相談できる選択肢で、日本ではフルボキサミン、パロキセチン、エスシタロプラムが社交不安症に保険適応になっています。
社交不安障害と、人見知りやあがり症の違いは?
社交不安障害は、ただの人見知りとは違います。人からどう見られるか、恥をかかないかという恐れが続き、その場面を避けるようになって、仕事や学校、人間関係に支障が出る状態です。NHS(英国国民保健サービス)は、消えない恐れが日常の活動、自信、人間関係に影響するものと説明しています。
人見知りは、慣れてくると和らぐことが多いものです。社交不安障害はたいていそうはいきません。電話をかけるのが何日も前から怖かったり、顔が赤くなったのをみんなに見られたと思い込んで、飲み会を早めに抜けたりします。NIMH(米国国立精神衛生研究所)によると、その恐れは自分ではコントロールできないように感じられることが多く、たいてい子どもの頃か思春期に始まります。日本の国立精神・神経医療研究センター(NCNP)も、人前に出る、話す、注目され評価される状況に強い不安を感じて避けるようになり、悪く思われる心配がよく見られると説明しています。
社交不安障害は、めずらしい病気ではありません。米国では成人の7.1%が過去1年に社交不安障害を経験し、約12.1%が一生のうちに経験すると推定されています。日本の社交不安症の診療ガイドラインによると、日本で行われたWHOの調査では12か月の有病率は0.8%でした(数字は国や調査方法で大きく変わります)。同じガイドラインは、受診する人が少ないこと、治療を受けないと60%ほどの人で症状が数年以上続くことも指摘しています。英国NICEガイドラインのBMJ要約でも、治療を求めるのは患者の約半数で、その多くは10〜15年待ってからだとされています。性格だからしかたない、と思い込んでいる人も少なくありません。でも性格のように固定されたものではなく、治療でよく良くなります。
社交不安障害にいちばん効く治療法は?
大人にとってもっとも良い最初の治療は、社交不安のために開発された個人の認知行動療法です。英国のNICEガイドラインCG159は、クラーク&ウェルズのモデルかハイムバーグのモデルにもとづく個人の認知行動療法をすすめ、クラーク&ウェルズのコースは90分を最大14回、約4か月です。
日本の社交不安症の診療ガイドライン(日本不安症学会・日本神経精神薬理学会、2021年)も同じく、社交不安症のために開発された個人の認知行動療法(クラーク&ウェルズモデルかハイムバーグモデル)を、習熟した治療者が手順に沿って行うことを提案しています。厚生労働省の研究事業でつくられた社交不安障害の認知行動療法マニュアルはクラーク氏らのモデルにもとづき、週1回50分、計12〜16回の面接を基本にしています。
NICEの推奨のもとになったのは、101件の試験、13,000人以上を対象にした大規模なネットワークメタ分析です。個人の認知行動療法は心理療法の中で最も大きな効果を示し、心理的プラセボ、精神力動的療法、マインドフルネス、支持的療法を上回りました。著者らはこれを最良の初期治療とし、心理療法を希望しない人にはSSRIがもっとも一貫したエビデンスを持つとしています。
社交不安への認知療法のランダム化試験では、治療後に診断基準を満たさなくなった人が84%、順番待ちのグループでは0%で、比較した治療に対する優位は1年後の追跡でも続いていました。
社交不安障害の治療法を比べると
社交不安の主な治療を、エビデンスの強い順に比べました。多くの大人にとっては、社交不安のための個人の認知行動療法から始めるのがいちばんです。それが受けられない、または合わないときは、サポート付きのセルフヘルプかSSRIが次の候補になり、あとから組み合わせることもできます。
| 方法 | どんなもの | どのくらい効くか | 日本での受け方 |
|---|---|---|---|
| 社交不安のための個人の認知行動療法 | クラーク&ウェルズ(またはハイムバーグ)モデルで、セラピストと最大14回 | もっとも強い根拠。NICEで第一選択、日本のガイドラインも提案 | 心療内科・精神科。社交不安症は2016年から、条件を満たせば保険診療 |
| インターネットでの認知療法 | 同じ治療を、オンラインの教材とセラピストの遠隔サポートで | 2023年の試験で主な結果は対面と同等。セラピストの時間は半分以下 | 提供している機関は限られる。医療機関に確認 |
| サポート付きセルフヘルプ | 認知行動療法のセルフヘルプ本やプログラムに、専門家の短い確認を組み合わせる | 待つより効果あり。NICEで第二の選択肢、日本のガイドラインでも対面を望まない場合に提案 | 医療機関や心理職に相談 |
| ひとりで行うセルフヘルプ | 認知行動療法にもとづく本やプログラムを、サポートなしで | 待つより効果あり。サポート付きより効果はやや小さい | 認知行動療法にもとづく書籍やプログラム |
| SSRI | 毎日飲む抗うつ薬 | 多くの人に効く。コクラン・レビューはエビデンスの質を非常に低い〜中程度と評価 | 医師が処方。日本の保険適応はフルボキサミン、パロキセチン、エスシタロプラム |
| 短期の精神力動的療法 | 社交不安向けに調整した、気づきを重視する療法 | 効果はあるが認知行動療法より小さい。NICEで第三の選択肢 | 精神力動的療法を行うセラピスト |
社交不安の認知行動療法では何をする?
社交不安の認知行動療法では、恐れを保っている悪循環を断ち切ります。注意が自分の内側に向くこと、安全行動で身を守ること、出来事をあとからくり返し思い返すこと。そのために、注意を外に向ける練習、安全行動をやめる実験、ビデオフィードバック、行動実験などを組み合わせます。
英国のNICEが挙げる要素は、社交不安についての心理教育、自己注目と安全行動についての実験、ビデオフィードバック、注意を外に向ける練習、行動実験、つらい社会的な記憶や根っこにある思い込みへの取り組み、出来事の前後の反すうを変えること、そして再発予防です。日本の厚生労働省のマニュアルも、安全行動と自己注目の検討、ビデオフィードバック、注意シフトトレーニング、行動実験、「出来事の前後で繰り返しやること」の検討、再発予防といった、ほぼ同じ流れで進みます。
自己注目
社交不安があると、注意は内側へ向かいます。自分の顔、声、手を監視して、その感覚から自分がどう見えているかを推測します。この治療を開発した研究者たちは、人がこうした感覚をもとに自分の見え方を判断してしまう様子を説明しています。顔が熱いと、真っ赤に見えていると思い込むのです。対策は、注意を外に向ける練習です。相手の言葉や表情に集中すると、より正確な情報が得られ、頭の中の実況中継が入りこむ余地も小さくなります。
安全行動と、それをやめると楽になる理由
安全行動とは、恐れている結果を防ぐためにしている小さなことです。言うことを頭の中で練習する、目を合わせない、手の震えを隠すためにグラスを強く握る、自分のことを話さずにすむよう質問ばかりする、などがそうです。
安全行動は、ふたつの点で逆効果になります。注意を自分に向け続けること、そして何も悪いことが起きなかったとき、その場面が安全だったと学ぶかわりに安全行動のおかげだと考えてしまうことです。ある実験研究では、安全行動と自己注目はいくつもの点で役に立たないことがわかり、それをやめることの意味が裏づけられました。治療では、いつもの安全行動を使った会話と使わない会話を1回ずつ試すことがよくあり、その実験でたいてい、その習慣がどれほど不安を強めていたかが見えてきます。
行動実験と段階的な暴露
行動実験は、特定の恐れを確かめるための計画的なテストです。「気まずくなる」と漠然と考えるかわりに、「話の途中で間があくと、相手は目をそらすか笑う」と書き、実際に確かめに行きます。段階的な暴露とは、こうしたテストを簡単なものから難しいものへ並べることです。NIMHは暴露療法を、不安症の背景にある恐れに少しずつ向かっていく方法と説明しています。わざと間をあけてみるなど、恐れているサインをあえて見せて、人が実際にどのくらい気づくかを確かめる実験もあります。
ビデオフィードバック
ビデオフィードバックでは、会話を録画し、自分がどのくらい緊張して見えるかを予想してから、他人を見るつもりで映像を見ます。あるクリニックのデータでは、患者の98%が予想より良く見えたと答え、その後の1週間で社交不安が下がりました。
スマホで試すこともできます。2分間話す様子を録画し、事前にどのくらい緊張して見えるかを0〜100で予想してから、見えるものと聞こえるものだけで判断しながら見てください。粗探しをしてしまうのを止めてくれるセラピストと一緒に行うのが、いちばん効果的です。
ひとり反省会
ひとり反省会とは、人と会ったあとに、間があいたところや気まずい瞬間をひとつずつ思い返すことです。心理学では事後の反すう(ポストイベント・プロセッシング)と呼ばれ、自分のふるまいをくり返し見直して組み立て直すうちに、記憶が実際の出来事より否定的になりがちです。出来事の前から始まることもあります。認知行動療法では、これを断ち切るべき習慣として扱います。思い返している自分に気づいたら「いま反省会をしている」と名前をつけ、実際に起きたことを2行で書き出し、夢中になれることに注意を移しましょう。
人前で緊張したとき、その場でできることは?
社交不安をその場でスイッチのように切ることはできませんが、不安にエサを与えるのをやめることはできます。注意を相手に向け、安全行動をひとつやめ、その場から逃げずにとどまること。とどまることで、その場面は乗り越えられると学べます。
次の会話で試してみてください。
- 注意を外に向ける:この人は何を話していて、次に何を聞きたいか。
- 安全行動をひとつ、わざとやめる:目を合わせる、練習していないひとことを言う、など。
- からだのサインはそのままにしておく:顔が赤くなる、声が震えるといったことは、たいてい自分で感じるほど周りには見えていません。
呼吸についてひとこと。会う前にゆっくり呼吸する(たとえば4つ数えて吸い、6つ数えて吐く)と緊張が少し和らぎます。NHSもセルフヘルプのひとつに呼吸法を挙げています。大事なのは使い方です。会う前に呼吸を整えて、それから人と関わるのは問題ありません。でも「呼吸法をしたから乗り切れた」と信じていたり、不安を気づかれないよう会話の最中に呼吸を数えていたりするなら、それは安全行動になっています。暴露中の安全行動がどれほど有害かについては研究者の間でも意見が分かれていて、初期には慎重に使ってもよいという意見もあります。現実的な落としどころは、呼吸をウォームアップとして使い、はしごの後半のステップは呼吸法なしで試すことです。
社交不安障害を克服するには?不安階層表のつくり方
社交不安を克服するには、怖い場面を簡単なものから難しいものまで書き出し、予想される不安を0〜100で点数にして、安全行動なしで1段ずつのぼっていきます。これが「不安階層表(不安のはしご)」です。NHSも、難しい場面を小さなステップに分けるようすすめています。
10段の不安階層表の例
会話の中で評価されるのが怖い人の例です。あなたの表は、これとは違っていてかまいません。
- お店の人に商品の場所をたずね、答えてもらう間、目を合わせる。(20)
- レジで「ありがとうございます」と言い、天気などについてひとこと添える。(25)
- ネットで調べるかわりに、近所のお店に電話して質問する。(30)
- 同僚や近所の人に週末の話をふり、ひとつだけ質問を続ける。(40)
- 混んだカフェで、スマホを見ずにひとりでランチをとる。(45)
- お店で商品を返品し、理由を説明する。(50)
- 会議や授業で、ひとつ意見を言うか質問する。(60)
- 少しだけ知っている人をお茶に誘う。(65)
- 飲み会や集まりに行き、少なくとも45分いて、自分からふたりに話しかける。(75)
- 短い乾杯のあいさつか、3分間のプレゼンをする。(90)
のぼり方
- 不快だけれどできそうなステップから始めます。たいてい30〜40くらいです。
- 各ステップの前に、いつも使っている安全行動を書き出し、少なくともひとつはやめます。
- 次に進む前に、同じステップを何回かくり返します。
- 段差が大きすぎたら分けます。「会議で意見を言う」の前に「誰かの意見に賛成する」を入れる、など。
- ステップの前に不安が高まるのは自然なことで、失敗しているしるしではありません。
「予想」と「実際に起きたこと」を比べる練習
前とあとの簡単な記録は、社交不安にとってもっとも役立つセルフモニタリングのひとつです。ステップの前に、恐れている予想を目に見える形で書き、どのくらい信じているか(0〜100%)と、やめる安全行動を書きます。終わったら、実際に起きたことを、カメラが映すように事実だけで書き、もう一度どのくらい信じているかを評価します。
記入例です。
| 場面 | 予想 | 事前の確信度 | 実際に起きたこと | 今の確信度 |
|---|---|---|---|---|
| 火曜日の定例会議で質問する | 声が震えて、みんなが目くばせし合い、上司に仕事ができないと思われる | 80% | 最初のひとことふたことは少し声が不安定だった。ふたりがうなずいた。上司が答えて、いい指摘だと言った | 25% |
「実際に起きたこと」は、ひとり反省会が記憶を書き換える前に、なるべく早く記入しましょう。
社交不安障害は自力で治せる?
はい、認知行動療法にもとづくセルフヘルプで、ひとりでも大きく前進する人はたくさんいます。ただ、専門家が確認しながら進めるほうが、やや効果が高い傾向があります。
NICEガイドラインのもとになったネットワークメタ分析では、サポートがあってもなくてもセルフヘルプは待っているより効果があり、サポート付きのほうが効果は大きくなりました。
NICEは、個人の認知行動療法を望まない大人にサポート付きセルフヘルプをすすめています。認知行動療法にもとづく本を使い、3〜4か月で通常9回まで、専門家のサポートは合計で約3時間です。日本の診療ガイドラインも、対面の認知行動療法を望まない場合に、認知行動療法にもとづくサポート付きのセルフヘルプを提案しています。ひとりで取り組むなら、社交不安のための認知行動療法にもとづいた教材を選び、読むだけで終わらせずに暴露の練習まで行いましょう。2か月ほどたっても、大切な場面を避け続けているなら、専門家に相談してください。
社交不安障害にSSRIは効く?
はい、SSRIは社交不安のある多くの人に効果があり、薬を希望する人にすすめられる薬です。英国のNICEは、副作用に注意しながらエスシタロプラムかセルトラリンを使うことを提案しています。
日本の診療ガイドラインでは、日本で社交不安症に保険適応のあるフルボキサミン、パロキセチン、エスシタロプラムを第一選択として提案していて、セルトラリンは日本ではこの病気への保険適応がありません。
66件の試験を対象にしたコクラン・レビューでは、SSRIはプラセボより治療への反応を高め、再発を減らすエビデンスがある唯一の薬でした。ただしレビューの著者らは、エビデンスの質を非常に低い〜中程度と評価しています。SSRIを途中でやめた人はプラセボより多かったものの、脱落の割合そのものは低めでした。
抗うつ薬は、効き始めるまで数週間かかることがあります。NICEは、SSRIを10〜12週間使っても一部しか良くならない場合、個人の認知行動療法を加えるようすすめています。NIMHは、人前で話すときのような場面でのからだの症状に、β遮断薬が使われることもあるとしています。やめることも含めて、薬のことは必ず医師と相談して決めてください。
社交不安障害を克服するまで、どのくらいかかる?
体系的な認知行動療法なら、多くの人は3〜4か月ほどではっきりした変化を感じます。これは最大14回の標準的なコースの長さです。もっと早く変化が始まることもあり、あるクリニックのデータでは、ふつう3回目に行うビデオフィードバックの翌週に社交不安が下がっていました。
サポート付きセルフヘルプも同じく3〜4か月ほどで、薬は効くまで数週間かかります。治療をしないと長引きやすく、ネットワークメタ分析の著者らは、社交不安障害を慢性で、自然には治りにくいものと説明しています。
社交不安障害は完治する?
診断基準を満たさなくなるという意味で、完全に回復する人はたくさんいます。前に紹介した認知療法の試験では、それが参加者の84%で、結果は1年後の追跡でも続いていました。
回復とは、大事なプレゼンの前にまったく緊張しなくなることではありません。緊張に自分の選択を左右されなくなることです。だから治療は再発予防で締めくくります。何が役に立ったかを短いリストにまとめ、以前のパターンが戻ってきたときにすぐ使えるようにしておくのです。
病院に行く目安は?何科を受診すればいい?
社交不安のせいで、働く、学ぶ、友だちをつくる、日常のことをする、のいずれかができなくなっているとき、またはセルフヘルプで変わらないときは、専門家の助けを求めましょう。心療内科か精神科、またはかかりつけ医が入り口になります。
英国ではNHS Talking Therapiesにかかりつけ医を通さず自分で申し込めますが、日本では医療機関に直接予約するか、精神保健福祉センターや保健所に相談するのが一般的です。
日本で認知行動療法を受けるには
日本認知療法・認知行動療法学会によると、社交不安症の認知行動療法は2016年から、一定の要件を満たせば保険診療で受けられます。精神科医の清水栄司氏は、厚生労働省に届け出た医療機関で、認知行動療法に習熟した医師が行うことが条件で、一連の治療は原則16回まで、対応する医療機関はまだごくわずかだと説明しています。予約のときに「社交不安の認知行動療法を受けられますか」と確認しておくと安心です。
- 精神保健福祉センター:厚生労働省によると、こころの健康相談から精神医療に関わる相談まで応じ、必要に応じて近くの医療機関を紹介してくれます。
- 自立支援医療(精神通院医療):通院での治療を続ける必要がある場合、医療費の自己負担が原則1割になり、所得に応じて月の上限も決まります。申請は市区町村の担当窓口です(こころの情報サイト)。
人と会うために飲酒している、気分の落ち込みが出てきた、というときも相談してください。社交不安障害はうつ病やほかの不安の問題と重なりやすい病気です。思い当たるなら、うつの治し方や不安を和らげる方法も参考になるかもしれません。
受診したり電話したりすること自体がつらい、と伝えてかまいません。NICEは医療機関に、たとえば人目につかない待合場所を用意するなど、受診しやすくする工夫を求めています。
記録をつけると、克服の進み具合はどう見える?
セルフモニタリングは、認知行動療法の中心的な要素です。何をしたか、何を予想したか、どう感じたかを書き留めると、ぼんやりした印象が、行動につなげられる証拠に変わります。臨床家は、これが自己理解を深め、次に取り組むことを決める手がかりになると説明しています。
ひとり反省会が記憶をゆがめる社交不安では、記録はなおさら大切です。
Moodflowは治療ではありませんが、この取り組みと相性のいい機能があります。
- 日記:予想と結果の記録を毎日の日記につけられます。予想はステップの前に、結果は終わってすぐに。
- 記録:はしごの各ステップの前とあとに、5段階からワンタップで気分を記録し、気持ちを表す言葉やメモも添えられます。
- 分析:どの人や人との交流が気分を上げたり下げたりしやすいかが見えてきます(より深い気分との関係はPlusで)。怖かった場面が、意外と気分を良くしていたと気づくこともあります。
- 習慣と28日間チャレンジ:「1日1ステップのぼる」を、リングと連続記録のある習慣にできます。
- 呼吸:「ゆるめる」(吸う4・吐く6)は、人と会う前のウォームアップに向いています。会話の最中の盾にせず、事前に使いましょう。
- Apple Watch:会話が終わってすぐ、反省会が始まる前に、手首から気分を記録できます。
- 「ヘルスケア」・ヘルスコネクト(任意):睡眠が短かった夜と、人と会うのがつらかった日が重なっているかを確かめられます。
記録はあなたのスマホの中に保存されます。Moodflowは、iPhone、Apple Watch、Androidで無料で使えます。くわしくはmoodflow.co/jaへ。
つらくて、自分の安全を守れそうにないときは
自分を傷つけてしまいそうなとき、安全でいられる自信がないときは、今すぐ誰かに連絡してください。
- よりそいホットライン:0120-279-338(24時間対応)
- いのちの電話:0570-783-556(午前10時〜午後10時)。フリーダイヤル0120-783-556は毎日16時〜21時、毎月10日は午前8時から翌日午前8時まで
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556(受付時間は都道府県によって異なります)
- #いのちSOS:0120-061-338(24時間365日)
電話で話すのが怖いと感じるのも、社交不安ではよくあることです。番号と受付時間、そのほかの相談方法は厚生労働省「まもろうよ こころ」で確認できます。命に関わる危険が迫っているときは、119番に電話してください。海外にいる場合は、米国なら988、英国とアイルランドならSamaritans(116 123)、そのほかの国はfindahelpline.comで無料の相談窓口を探せます。
Frequently asked questions
社交不安障害を自力で克服するには?
怖い場面を0〜100で点数にした小さな不安階層表をつくり、30〜40くらいのステップから始めます。毎回安全行動をひとつやめ、予想と実際に起きたことを記録します。認知行動療法にもとづくセルフヘルプ本を使うと、取り組みに筋道ができます。
社交不安障害と人見知りは同じ?
違います。人見知りは気質のひとつで、慣れてくると和らぐことが多いものです。社交不安障害は、人からの評価への恐れが続いて避けるようになり、仕事や学校、人間関係に支障が出る状態です。
社交不安障害にSSRIは効く?
多くの人に効きます。日本では、フルボキサミン、パロキセチン、エスシタロプラムが社交不安症に保険適応があり、ガイドラインでも第一選択として提案されています。コクラン・レビューでは、SSRIはプラセボより治療反応と再発予防で上回りました。効くまで数週間かかるので、効果と副作用について医師と相談してください。
社交不安障害の克服にはどのくらいかかる?
社交不安のための標準的な認知行動療法は3〜4か月ほどで、最初の数回のうちに変化が見えることもあります。長く続く改善には、治療が終わったあとも実験や暴露の練習を続けることが大切です。
社交不安障害は完治する?
診断基準を満たさなくなるところまで回復する人はたくさんいて、ある認知療法の試験では84%でした。大事な場面で多少緊張するのは自然なことで、治療がうまくいかなかったという意味ではありません。
社交不安障害の認知行動療法は保険で受けられる?
日本では2016年から、一定の要件を満たせば社交不安症の認知行動療法を保険診療で受けられます。厚生労働省に届け出た医療機関で、習熟した医師が行うことが条件で、対応している医療機関はまだ多くありません。予約のときに確認しておくと安心です。
呼吸法は社交不安に効く?
人と会う前のゆっくりした呼吸は、ウォームアップとして悪くありません。ただ、不安を隠すために会話中も頼っているなら、安全行動と同じ働きをしてしまうので、はしごの後半のステップは呼吸法なしで試してみてください。
このガイドについて:Moodflowチームが、臨床ガイドライン(NICE、NHS、NIMH)と、日本の公的な情報やガイドライン(厚生労働省、国立精神・神経医療研究センター、日本不安症学会・日本神経精神薬理学会)、下記の査読付き研究をもとに作成し、それぞれの内容に出典へのリンクをつけています。最終確認は2026年11月です。一般的な情報であり、医師や専門家による診察や助言の代わりにはなりません。
参考文献
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- Recognition, assessment and treatment of social anxiety disorder: summary of NICE guidance、Pilling S, et al.、BMJ、2013年
- 社交不安症の診療ガイドライン、日本不安症学会・日本神経精神薬理学会、不安症研究、2021年
- 社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)、吉永尚紀(執筆・編集)、清水栄司(監修)、厚生労働省、2016年(第3版)
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- 身近にある地域の相談窓口、厚生労働省、2026年閲覧
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- Samaritans、Samaritans
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